2007年 3月

3月27日(火) 全国書店にて発売開始!

 

芥川舞子さん(写真右)のフォトエッセイが発売されることになりました!

人気雑誌「Ray」の専属モデルを経て、
今は、ヨガのインストラクターをされている芥川さん。
ヨガと出会ってどのように自分の人生が楽しく輝き、本来の自分らしさを取り戻していったかが、その当時の芥川さんの気持ちとシンクロするように語られていきます。

単なるヨガのポーズを伝授する本ではありません。
いかに、ヨガを生活の中に取り入れ溶け込ませていくかによって、生活自体がみるみる豊かになっていく様を、まさに、実証した内容になっています。

芥川さんは包み隠さず、自分のことをさらけ出していきます。
モデル時代の苦悩と焦り、そこから抜け出すことができたきっかけなど、
華やかな世界の舞台裏に潜むどんな人にでも襲ってくるネガティブな感情の落とし穴を、意識の力によってプラスに変えていった軌跡を、自らの肉声で語っていきます。

ヨガのポーズも、決まりきったメソッドではなく、1ポーズずつトライ出来る構成になっています。克服したいことを、いつでも試せるようになっており、自分自身の体調や気持ちに合わせて、自分自身で組み合わせていけるのです。

また、知っているようで知らないヨガの歴史や言葉など、ヨガにまつわる情報も網羅しています。

傍らに、ソッと置いておきたい、可愛らしい本に出来上がりました。

ちなみに、表紙の芥川さんのポーズは、「子宮内の胎児のポーズ=ガルバ・ピンダ・アーサナ」です!

是非、ご覧になってみてください!

クサカワ ハジメ

幕が開くと、舞台全面に巨大な木が設えてあり、柳のようにしだれ流れるボリュームある木の葉が美しい。役者たちは音楽隊と共に客席後方より登場し、一同舞台前面に揃うと観客に一礼をし、そこで、まず大拍手。蜷川演出のオールメールプレイの、定番の幕開きだ。ウワッと華やかな雰囲気が醸し出される。

北村一輝演じるナヴァールの国王ファーディナンドが、これから3年間は学業に専念するためと、臣下たちと誓いを立てる丁々発止のやりとりから舞台はスタートする。最初は活きがいい男優陣が溌剌として新鮮だが、だんだんと、その掛け合いが台詞上だけの表層的なものになってきて、舞台経験の浅い俳優さんたちが、もうひとつ力が足りないことが明らかになってくる。

途中、信書を読み上げるシーンなどは、ラップ調な台詞廻しで、一瞬新鮮さを感じるが、階級紳士が庶民の真似事をしているのだ、というような深読みできる意図は全く感じられない。そもそも、この男優陣に貴族の気品を求めることは困難である。いかにも現代の若者である。なので、ラップで唱えること自体にそもそもあまり違和感がなく、逆に流行をサラッとなめているかのような薄い味わいだ。

ただし、騒々しい中にも大人の落ち着きを感じさせる喜劇になっていたのは、ひとえに座長の北村一輝の存在に他ならない。成宮寛貴や小栗旬にはない、年齢的な落ち着きと大人の男の色気があり、また、旬の俳優が持つ輝きも放っていた。窪塚俊介も明晰だが、もうひとつこの役に何か個性をアクセントとして付加して欲しかった。それは、須賀貴匡にも言えることだ。高橋洋が、北村一輝の下、実質的に物語を牽引していく役回りを受け持つが、他の俳優の硬さを、逆に浮き立たせてしまう結果となった。経験値が大きいとは思うのだが、舞台上で“自由”に演じる伸びやかさの度合いが、あまりにも違い過ぎるのだ。

女性を演じる男優陣も、もう一歩吹っ切れると楽しい気がした。内田滋が、コミカルさに徹していたのが目立ち面白くはあるのだが、女装であり、決して女形とは言えず、ショーパブのパフォーマンスのような印象だ。但し、下世話という点においては、変に女の仕草をどう見せるかというようなテクニックを駆使しない次元で勝負していたことには好感が持てる。戦略、なのであろうか。姜暢雄は、その身体の大きさを、もっと逆手に取るなどして、どう見せるかの工夫が、もう少し欲しかった。真面目である。中村友也は、綺麗な姿であり、時に、内田滋とのバトルな掛け合いも面白い。しかし、もうひとつ、この役回りを活かす個性を作り出すことはできなかったか。月川悠貴は、受けに徹し、男の側面を全く封印していたのは天晴れだ。他の俳優陣の中で、どういう立ち位置で、アピールしていくかを心得ている気がした。4人の中では、一番、女性に見えた。

藤井びんが面白い。この白塗りの男が出てくるだけで、舞台の空気が変わり、道化に徹したその姿だけで、可笑しさが込み上げてくる。青井陽治は、さて、どんな演技をされるのかと思いきや、意外に正統派で地味! 真面目に役作りに取り組んでいた。

難しい戯曲であると思う。大仰なテーマもなければ、そもそもそれぞれの役柄に、クッキリとした個性が内包されているわけでもない。能天気に駆け引きを楽しむ登場人物たちを見て、ただ、面白がれればいい作品なのかもしれない。そこが、難しい、ということか。普通のことを、いかにも面白い出来事として、観客の耳目を集め笑わせ楽しませることができるのか。シェイクスピア喜劇の上演の難しさを痛感した作品であった。

昨年観た、ブロードウェイ公演より、刺激的で面白い。テキスト・楽曲はそのままに、いのうえひでのり演出は、新たな日本版を作り上げた。ブロードウェイ版の、万人に受け入れられる、と言うか、誰からもクレームの来ないような作り方が、あまりにもさっぱりし過ぎていて、この作品の本質からずれたように感じていたのだが、今作にそのずれは無かった。だって、戦争、不倫、殺人、ゲイ、いじめ、幼時虐待、ドラッグ、宗教、そして、三重苦という、これでもかのデンジャラスなテーマがてんこ盛りな作品なのだ。さらりとこなしていい訳がないと思う。かなり、社会状況を先取りしていた作品であったことに、今回改めて気付き、THE WHOの偉大さを再認識した。

但し、映画版のインパクトには程遠い。鬼才ケン・ラッセルの描いた独自の美学とオリジナリティは稀有なものである。今作は、その映画版にオマージュを捧げているのだといくことは良く分かるのだが、演出家がイメージの根幹の部分で映画版に引きずられているような気がしてならない。従って、強烈な映像世界と舞台をどうしても比較してしまうことになり、そうすると少々薄味な印象は免れない気がする。ブロードウェイ版が、映画とは全く立脚点を異にすることで、万人向けではあるが、1つの世界観を造形していたのに対し、意識下に映画のイメージを刷り込まれた今作の表現は、映画と舞台のイメージをミックスしたという中庸感を感じてしまうことは、否めない。

しかし、CGを駆使した演出は新鮮だし、映像の中から現実が飛び出てくるという発想はこの舞台のオリジナルなものである。クレーンを使っての飛行や飛翔のイメージも舞台ならではのものであり、ライブのダイナミックさは十二分に表現されていたと思う。

言わずもがなだが、中川晃教の歌唱と存在感は圧倒的だ。主観だが、これまた、どこかロジャー・ダルトリーを彷彿とさせてしまうと感じてしまったのは、私だけであろうか。このグイグイと話の展開を引っ張っていく強烈なパワーは、圧巻である。ROLLYのいとこのケビンも迫力だ。そのシーンだけ彼のソロコンサート会場になってしまったように観客を注視させるオーラを放出しまくっている。右近健一のアーニー叔父さんも迫力だ。ブロードウェイ版から削除されていたこの役柄のダークな部分を、映画版と同じようにブラックユーモアを交えて表現してみせる。ソムン・タクのアシッドクィーンの力強い迫力も作品の中の大きなアクセントになっている。高岡早紀は、TOMMYを鏡に叩きつけるシーンでの感情の爆発が印象に残る。パク・トンハは、自由型が多い出演者の中において、正統派ミュージカル的表現が逆に異質に映った。

アンサンブルの方々の出自は知らぬが、ミュージカル的な独特な立ち振る舞いや笑顔などが気になり、このロックな舞台と少しテイストが違うようなニュアンスを感じた。アメリカンな感じの衣装も、ロックを感じさせない要因のひとつになっていたのかもしれない。

休憩挟んで2時間。THE WHOの真髄が、たっぷりと堪能出来た! 最後は、コンサートのような演出へと移行していき、ライブであることを重視した表現で、観客の心を掴む術は素晴らしいと思う。イメージでは映画の呪縛はあったのかもしれないが、表現レベルでは、もちろん十分オリジナリティ溢れるパフォーマンスを見せてくれた。最後は観客総立ち! ロックが観客を興奮させたのであろうが、そう仕向けた演出と出演者のパワーと戦略にも脱帽である。しかし、何よりも、単純に楽しかったと思える舞台は、そうそうあるものでは、ない。稀有な作品であると思う。

落語昇天委員会@勝沼紳一:編
2月23日(金) 全国書店にて絶賛発売中!

勝沼紳一氏、渾身の作!
落語好きを称する氏が、永年温めていた「落語」という牙城にPOPに斬り込んだ快作である。お勉強臭いのは止めようね、が企画コンセプトの発端。そこから、新たな視点を切り開いていった。

落語って下世話だよね。でもその庶民感覚が面白いんだよね。今で言うと週刊誌みたいなもの? だったら表紙なんかも見るからに雑誌風にしてしまうってどうよ? インタビューも入れたいね。二つ目の若手落語家のぶっちゃけ話なんて聞いてみたいよね。んー、でも可能なら、大御所の話も掲載したいよね。

アイデアはブレストする内にドンドンと広がり、企画の構想が固まっていった。

面白いものだが、練りに練った企画というよりも、アイデア先行で走りながら考えていく中で、思いが全て実現していったんですね。これは、その渦中(氏と私)に居ることでその醍醐味を味わうことが出来ました。

橘家円蔵師匠にインタビュー出来たのも、ホント、幸運でした。駄目もとで事務所に何度かご連絡をするものの、電話は転送になり繋がらず! これは、ご縁がないのかなと思っていたところ、ある日、ヒョイとご本人が電話口に出られた。それから、話はトントン拍子に進み、タップリと、深く、ぶ厚い、お話が聞けました。インタビュー内容は、是非、本誌をお読みくださいね。師匠の半世紀でもあり、昭和の芸能史にもなっています。これ、永久保存版ですよ、マジに。

いろいろな方のサポートがあり、実にいい本に仕上がりました。最終校正での、版元の責任者の方の細かな校正などには、頭が下がる思いでした。プロの技を間近で拝見させていただきました。こういう文化は、ホント、伝承していかなければなりませんです。

また、ひとつ、私たちにとっての、宝物が産まれました!

クサカワ ハジメ

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